2016年3月29日 | ~ | 2016年6月26日 |
今回の常設展は、20世紀後半の抽象表現主義からミニマル・アートにいたるアメリカの現代美術作品を中心に、作品の色彩と形態が生み出すリズミカルな表現に着目したものです。 1940年代後半から1960年代初頭にかけてニューヨークで興った抽象表現主義は、絵画の画面における表現の可能性を追求し、大画面に平坦な色面をもった精神性の高い作品が特徴です。また、抽象表現主義と同時期にヨーロッパで興ったアンフォルメルでは、問題意識を共有しつつも、エレガントな画面構成にヨーロッパの伝統が色濃く見受けられます。世界的な潮流となった抽象表現主義は、ネオ・ダダやポップ・アート、オプ・アート等、後の美術に大きな影響を与えました。特に顕著なつながりが見えるのがミニマル・アートです。 ミニマル・アートは視覚的な情報を極限まで切り詰めることで、作品をただモノそのものとして存在させようとします。代表的な作家であるアメリカのドナルド・ジャドが提唱した概念、「スペシフィック・オブジェクト」は絵画でも彫刻でもない、「特殊な特定の物体」を意味し、それが「いま・ここ」に存在すること以外、何ら意味がないことを理想としました。 これらの現実のモチーフを持たない抽象的な表現の作品は、幾何学的な形が重層的に積み重なり、さまざまな色彩が鮮やかに配置され、単純な形態が繰り返し現れるなど、正に音楽のようにリズミカルな表現が見られます。それは、高い精神性と純粋性を表現する方法として、絵画や彫刻などの視覚芸術の可能性を追求した結果なのです。 |
●出品作品リスト
作者名 | タイトル | 制作年 | 素材・技法 |
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ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界Ⅰ | 1922年 | リトグラフ・紙 |
ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界Ⅱ | 1922年 | リトグラフ・紙 |
ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界Ⅲ | 1922年 | リトグラフ・紙 |
ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界Ⅳ | 1922年 | リトグラフ・紙 |
ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界Ⅴ | 1922年 | 木版・紙 |
ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界Ⅵ | 1922年 | 木版・紙 |
ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界Ⅶ | 1922年 | 木版・紙 |
ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界Ⅷ | 1922年 | 木版・紙 |
ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界Ⅸ | 1922年 | エッチング・紙 |
ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界Ⅹ | 1922年 | エッチング・紙 |
ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界XⅠ | 1922年 | エッチング・紙 |
ワシリー・カンディンスキー | 小さな世界XⅡ | 1922年 | エッチング・紙 |
サム・フランシス | サーキュラー・ブルー | 1953年 | 油彩・画布 |
サム・フランシス | 星の詩 | 1986年 | リトグラフ |
マーク・ロスコ | No.28 | 1962年 | 油彩・画布 |
フランク・ステラ | バルパライソ・フレッシュ | 1964年 | メタリックペイント・画布 |
フランク・ステラ | イスファハーン | 1967年 | アクリル・画布 |
アド・ラインハート | トリプティック | 1960年 | 油彩・画布 |
アド・ラインハート | 無題 | 1966年 | シルクスクリーン・紙(10点組) |
マーク・トビー | Changing of the Square | 1965年 | テンペラ・板 |
バーネット・ニューマン | 無題 | 1966年 | シルクスクリーン・紙(木、アクリル板) |
モーリス・ルイス | ダレット・ペー | 1959年 | アクリル・画布 |
ドナルド・ジャッド | 無題 | 1977年 | アルミニウム・鉄 |
ケネス・ノーランド | カドミウム・レディアンス | 1963年 | 油彩・画布 |
ソル・ルウィット | ストラクチャー | 1978年 | 木製 |
カール・アンドレ | ZInc-zinc Plain | 1969年 | 亜鉛版 |