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平成17年 春の美術館講座
『近江の仏像、―土地と仏像  
    《最近の調査・研究の成果から》―』

(受付終了)


 美術館講座は、美術の歴史や作品の見方、制作技法などについて、一般の方々を対象にわかりやすく解説する催しです。毎年春と秋の2回、それぞれ異なったテーマを設けて、連続講座形式で実施しています。第39回目を迎える今回は「近江の仏像、―土地と仏像《最近の調査・研究の成果から》―」と題して、最近の文化財調査で確認された仏像やその銘文について、鎌倉時代の作例を中心にして、最新の情報をお知らせし、併せて現在の研究状況もお話いたします。

 ある寺院に祀られている古い仏像が、果して鎌倉時代に造られた時からそこに祀られていたのかを証明することは、容易なことではありません。奈良や鎌倉の大仏さんのような巨像や、狛坂や臼杵の磨崖仏の様な像なら別ですが、仏像は状況に応じて簡単に移動するからです。長い時間の流れの中で、自然災害や戦火によって多くの堂舎が灰燼に帰しましたが、信仰を一心に集める仏像は、命がけで救い出され、祀り続けられました。当然、その像は最初の安置場所を移動することになりますが、その移動距離が短い場合もありますし、かなり遠方の場合もあるのです。しかし、当初の安置場所やその地域が少しでも判明すれば、仏像の研究は土地との関係性が重視されることになり、一気に造像の事情や伝来の経緯を考えることができるようになるかもしれません。今回の講座では、このような視点から、土地や地域と関わる仏像についての紹介と、その解明を試みます。

第1講「多賀町・敏満寺大日堂の大日如来像―重源と敏満寺再興」
 地名にしか名前を残さない敏満寺は、鎌倉時代から室町時代にかけて、ずば抜けて大きな寺院であったことが、徐々に分かってきました。源平合戦によって、平安時代から鎌倉時代へと大きく時代が変わるとき、この寺は東大寺大勧進の重源らが介在して再興され、その後の発展の基礎が築かれました。それに関わると考えられるのが、15cmにも満たない小金銅仏の大日如来像です。

第2講「木之本町・浄信寺地蔵菩薩像―木之本地蔵を発願した人々」
 湖北の木之本の街中に建つのが、時宗の有力寺院である浄信寺で、本尊は秘仏になる等身の地蔵菩薩像です。このお地蔵さんは、「木之本地蔵」と呼ばれて篤く信仰され、地蔵盆の頃には、木ノ本駅から寺まで、長蛇の列ができるほどの賑わいをみせます。この地蔵菩薩像が明治時代に解体修理されたとき、像内から墨書が残る木札などが確認されました。そこには、この地蔵菩薩像が地域の信仰を集めて造像されたことが記録されています。

第3講「野洲市・福泉寺阿弥陀如来像―東山道の鏡宿と仏像」
 東山道の鏡宿は、平安時代後半に成立した宿駅で、後世、源義経が元服した土地ともいわれ、いまも義経の元服池と伝えられる小さな池が残されています。古代の有名な歌枕にもなる鏡山の山麓にあるこの宿駅は、『梁塵秘抄』などにも登場する芸能などでも有名な所です。承久合戦の翌年、一体の阿弥陀如来像が、二人の女性を中心にして造像されました。動乱の時代の鏡宿での造像の実態を探ります。

第4講「甲賀市・円福寺薬師如来像と阿弥陀如来像―甲賀の領主達の仏像」
 甲賀といえば忍者ですが、室町時代から戦国時代にかけて、忍者伝説が作られてゆくような小領主の共同体が、この甲賀の丘陵地では機能していました。文化財の総合調査が進むある日、像内にびっしりと墨書のある2体の仏像が、村の中のお寺の本堂に秘仏として祀られていることに遭遇しました。この墨書から推測できるのは、その小領主達の鎌倉時代の姿の一端ではないかとみられるのです。

■講座スケジュール
 6月 5日(日)  午前10時30分〜12時  第1講「多賀町・敏満寺大日堂の大日如来像―重源と敏満寺再興」
          午後1時30分〜15時  第2講「木之本町・浄信寺地蔵菩薩像―木之本地蔵を発願した人々」
 6月12日(日)  午前10時30分〜12時  第3講「野洲市・福泉寺阿弥陀如来像―東山道の鏡宿と仏像」
          午後1時30分〜15時  第4講「甲賀市・円福寺薬師如来像と阿弥陀如来像―甲賀の領主達の仏像」

■講 師 当館学芸課長 高梨 純次

■会 場 当館講堂

■受講料 無料

■申し込み方法
 受講を希望される方は、郵便往復ハガキ、または電子メールに、住所・氏名(ふりがなも)・電話番号を明記の上、5月15日(日)(必着)までに、滋賀県立近代美術館「美術館講座」係まで申し込んで下さい。(受付終了)
 電子メールによる申し込みの場合、件名を必ず「美術館講座受講申込み」として下さい。
 電話による申し込みは受け付けませんので、ご注意下さい。
 受講決定者には締め切り終了後、折り返しその旨を通知いたします。なお受講希望者が相当多数になった場合、会場の都合などのため、やむを得ず抽選で受講者の選抜を行うことがありますので、あらかじめご了承下さい。

■宛 先   〒520−2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740−1
               滋賀県立近代美術館「美術館講座」係
       電子メール:sg-voice@mx.biwa.ne.jp

■過去の美術館講座の記録 こちらをご覧下さい