当館では毎年夏休みに、主に子供たちを対象とした教育普及イベントを開催しています。今年は“変身”をテーマにした造形ワークショップ「海だよ森だよ大変身!」と、複製を用いたゲームを通して美術作品に親しむ「ゲームであ〜と!」の、2種類のイベントを実施いたしました。
当館のワークショップは、学生を中心としたボランティアスタッフの手によって支えられています。イベント前に集まって何回も議論を繰り返し、その中から自発的にイベントを練り上げてゆく「滋賀方式」という方法で実施しており、司会・進行・小道具・音響・記録など、すべてがボランティアたちの手によって運営されています。今年は特に、スタッフが4月から毎月のように集まって、メインとなるイベントをその企画内容から練ってゆく形式を取ったため、文字通りスタッフの手による手作りのイベントとなりました。
8月3日(火)〜4日(水)と8月7日(土)〜8日(日)の2回にわたって実施した「海だよ森だよ大変身!」は、2日間連続の造形ワークショップです。様々な環境とそこに住む生き物の暮らしを想像し、仮装によってその生き物になりきるというものですが、グループでの共同作業と成果発表を行うのがねらいでもありました。初日はまず講堂で、仮装したスタッフによる寸劇を鑑賞。ストーリーはトボけた教授と探検隊が、スライド上映による世界の様々な海や森を旅し、ヘンな生き物たちに出会うというもの。仮装の見本を子供たちに披露するとともに、世界の様々な自然環境を見せ、子供たちの想像力をかき立てるのがこの寸劇のねらいでした。そのあと子供たちは5〜7名のグループに分かれ、それぞれの班で“海”を作るか“森”を作るかをクジで決め、各自どんな生き物になりきるかを班ごとの話し合いで決めてゆきました。内容が決まったら会場をギャラリーに移動し、いよいよ様々な材料を駆使しての創作作業に入ります。
ふだんは作品を飾る部屋であるギャラリーは、この日のためにスタッフの手によって、絵の具の使用も可能な創作会場へと模様替えされています。子どもたちはまず、ギャラリーの壁や床一面にすきまなく貼られた紙に、マジックで自分の身体の型を取りました。「自分の分身」を土台にして、変身の「設計図」を作るためです。併せて分身の周りに、動物の住み処なども作ってゆきます。それができたら、今度は設計図通りに自分を“変身”させる作業に入ります。使用できる雑多な材料は、量・内容ともにふだん学校でも家庭でも使えないようなものばかり。特に子どもがすっぽり隠れる巨大な段ボール板は人気抜群で、あろこちに動物の住み処が乱立することになりました。
作品は2日目の午後に完成。その後はグループごとに寸劇を作って、作品をお互いに見せ合う「発表会」です。イベントの企画段階では「果たして子どもたちにここまでできるのだろうか」と皆心配していたのですが、意外なほどどの班の子どもたちも、のりにのって劇を披露してくれました。なお完成した子どもたちの作品は8月10日(火)から15日(日)のあいだ、ギャラリーで一般公開されました。
8月22日(日)に実施したもうひとつのイベント「ゲームであ〜と!」は、平成8年と9年に実施して好評を博したアート・ゲーム(ゲームを通して作品鑑賞のテクニック等を身につける教育プログラム)を、スタッフ問のノウハウの引き継ぎのために再度実施しようということで急遽開催したもの。そのため準備時間はほとんど取れなかったのですが、昔取ったきねづかということもあって、結果的には完成度の高いイベントになったようです。
実施したゲームは、2種類の息抜きゲームを除くと計6種類。最初に「つかみ」として行ったのが、スライドで映される名画の登場人物とのジャンケンゲームです。ついで実施したのは、一人が名画の登場人物をジェスチャーし、どの絵を真似ているのかを皆で当てるというゲーム。3つ目は古今東西の美術作品のカード約300枚を用いたマッチングゲームでした。これはトランプのページワンのようなルールで、場に出ている作品と共通点を持った作品を、手持ちのカードの中から順繰りに出してゆくというものです。4番目は一人が見ている作品を12枚の中から当てるというゲーム。作品を見ている者が、他の者の質問に対し○か×のプラカードを挙げて答えてゆきます。5番目は、3点の作品を見せてそれを描いた画家が誰かを、8枚の「自画像」の中から当てるという“画風見分け”ゲームです。そして最後が、作品の細部をよく見て、そこからお話しを作っ
て披露するというゲームでした。
6つのゲームは順を追って、だんだん作品の「深い」部分を見るテクニックが身につくように工夫してあります。子どもたちの反応も非常に良かったので、機会があれば継続して行ってゆきたいイベントであると思っています。