当館は毎年夏休みにボランティアスタッフの協力のもと、子供向けの教育普及イベントを実施しています。そのひとつ、8月2日(水)と8月3日(木)の2回開催した『ぼくのわたしの空中庭園』は、開催中の「イサム・ノグチ展」に関連したワークショップ。ノグチが庭園・環境デザインに熱心に取り組んでいたことを受けて、自分だけのミニ庭園を作るイベントでした。庭園作りといっても実際は、心理療法のひとつ箱庭療法で作るような自分だけの小さな世界作り。発泡スチロール製の様々な形の食器をベースに、マーカーで着色可能な軽量紙粘土で肉付けし、そこにみんなで持ちよった玩具やビー玉などを置いて箱庭を作り上げます。さらに個人作業だけで終ることがないよう、ペットボトルやカラー針金を使って、それぞれの庭園を空中に浮かぶように展示し、お互いを橋やトンネルでつないで立体的に配置したりもしました。出来上がったミニ世界はどれも子どもたちの個性で溢れた、千差万別の万華鏡のようでした。
8月5日(土)と6日(日)に開催したもう一つのイベント『びっくりドッキリであいのアート』は、当館が推進しているアートゲームのうち、20世紀美術の原点となった様々な技法を追体験するゲームばかりを連続で実施するもの。そのうち幾つかをご紹介ししますと、『ピカソde福笑い』は、キュビスムの創始者ピカソが様々な角度から見た顔のパーツをひとつに合成して肖像画を描いたことを、体感的に理解してもらうゲーム。美人顔から怪物のような顔まで、色んな顔が誕生しました。『びっくりコラージュ』は、シュールレアリスムのデペイズマン(様々な物体を本来あるべきでない場所に設置して不思議な光景を作る技法)のシミュレーション。くじでランダムに入手した過去の名画を背景にコラージュで、別の名画の登場人物や、様々な日用品がおしゃべりする摩訶不思議な光景を制作しました。『ぼくのマーク、みんなのマーク』はカンディンスキーの抽象絵画理論の追体験。自分や家族のイメージにピッタリな色とかたちを直感で選び、組み合わせてマークを作るゲームです。なお出来上がった作品はラミネート加工して、オリジナルの下敷きにして参加者に持ち帰ってもらいました。
今年初夏、子どもたちに館蔵品に親しんでもらうために、展示作品を模写するイベントを開催いたしました。実施したのは5月14日(日)・20日(土)・21日(日)・6月3日(土)・4日(日)の午前中、計5回。常設展示室に展示中の作品の中から好きなものを選んで模写してもらい、自分だけのアレンジを加えて新しい作品を仕上げてもらうという内容でした。
会場の2階教養室に集まった子供たちにまず、ピカソをはじめとする過去の巨匠たちが、それ以前の作品を手本に作品を作ってきたことを映像で伝えます。そっくりに模写するだけでなく、アレンジを加えて自分だけの作品を作る楽しさも指摘します。それから展示室に移動して、鉛筆で作品スケッチを開始!展示室は照明が暗くて模写には不向きなのですが、みな真剣なおももちで作品をよく観察し、画用紙の上に輪郭を描いてゆきました。その後、教養室に戻って自分の好きな画材で彩色してゆきます。わざわざ別室で彩色するのは、展示室で絵具を使うと作品や他のお客様に対して問題が生じるため。クレヨン、色鉛筆、水彩絵具、色紙のコラージュなど様々な技法を駆使して、奮闘の末、ようやく自分だけの作品が出来上がりました。イベントの実施時間内に描けなかった場合は、居残って描いても、家に持って帰ってゆっくり描いてもOK!ただし後日、必ず美術館に郵送で作品を送って欲しいとお願いをしました。
そして数週間後、幼児(2〜5歳児)から小学6年生まで66名の子どもたちによる、67点のユニークな作品が美術館に送られてきました。これらの作品は夏休み期間中の8月8日(火)から20日(日)まで、美術館ギャラリーにおいて展示し、一般の方々にもご鑑賞いただきました。フレッシュな感性で変身を遂げた館蔵品の姿を、来場された方々は皆、興味深くご覧になられたようです。なお応募作品の中からグランプリ、準グランプリおよび、テクニック賞2名、ユニーク賞3名を選定し、その表彰式を8月20日(日)に実施いたしました。