当館は毎年夏休みに美術館友の会との共催で、ボランティアスタッフの協力のもと、小・中学生を対象とした様々な教育普及イベントを実施しています。今年は開館20周年記念展『コピーの時代』会期中のイベントとなるため、同展のテーマに関連付けた2種類のイベントを開催いたしました。
その前者、7月31日(土)と8月1日(日)の2回に渡って開催した『コピーな せかいを つくっちゃおう!』は、幼稚園年長〜小学生が対象の、グループ制作による巨大作品作りのワークショップ。巨大ダンボール板や様々な素材を駆使して、わたしたちが住む町にある様々な店舗や施設を作品で再現しようというものです。でも店をそのまま作っても面白くない。『コピーな時代』展のコピー作品が、元ネタを巧みにアレンジして新しい世界を作っていたように、コピーな世界の店も現実の店を少しだけ“ずらして”、現実にはあり得ないおかしな店に変えてしまいました。
このイベントのために、ボランティアたちは5月上旬から計6回に及ぶ会議を開いて内容を協議し、資材を集めました。どういうふうに“ずらす”と面白くなるのか、まずボランティアスタッフが子どもたちに試演してみるのがいいだろうとばかり、「プロやきゅうチームならぬ、プロやきにくチーム」と、「動物を売るのではなく、人間が装着できる、動物の身体のパーツを売るペットショップ」の2種類の店舗をあらかじめ作って子どもたちに見せることにしました。前者はダジャレが生んだナンセンスな世界、後者は“あったらいいなあ”という夢の店です。子どもたちにうまく趣旨が伝わるかどうか危惧していたのですが、実際に子どもたちに作品を作らせてみると、「バクハツするコンビニ」「お鼻屋さん」「回転寿司+コンビニ=回転コンビニ」といった奇抜なアイディアが次から次に生まれ、ふだん学校や家では作れないような巨大な作品を、お互い協力しながら楽しんで作っていました。
そしてもう一つのイベントは、8月7日(土)と8日(日)に開催した、小学校中学年〜中学生対象の『わたしの まねっこ びじゅつかん』。美術館をコピーしてミニチュア美術館を作るワークショップですが、これは平たく言えば“美術館作りシミュレーションゲーム”です。アメリカで開発された、決められた金額のお金を元手に、テーマを決めて美術作品を買い集め、美術館を作るアート・ゲームの一種です。アート・ゲームの開発実践で名が知られる当館としては、一度はぜひ実施しておきたいゲームでした。なお、アート・ゲーム(1980年代のアメリカで開発された、ゲームを通して作品鑑賞のノウハウを身につける教育プログラム)に興味のある方は、「滋賀近美ボランティアのホームページ」に詳しい紹介が掲載してありますので、ぜひご覧下さい。
http://www.biwa.ne.jp/~artvolun/
本番に備えてスタッフが用意したのは、折り畳むと20分の1の展示室が作れるスチレンボードと、古今東西の有名な美術作品300点の、実物のちょうど20分の1の大きさの図版群、それに20分の1サイズの観客の人形たち。
イベントは、参加の子供たちひとりひとりに、200真似ー(真似ー(マネー)は通貨の単位)のおもちゃのお金が配られるところからスタート。それぞれ専門分野が違うギャラリーの店主に扮したスタッフが、店先に並べた古今東西の名画名品から、予算を超えないように作品を購入してゆきます。ある程度作品が売れたところで《オークション》がスタート。これは人気があると思われる作品を、希望者が競り落として入手するという本格的なもの。駆け引きのゲーム性が高いためか、特に男の子たちに好評でした。
無事に予算内で作品を集めることができたら、今度はスチレンボードを折り曲げ、展示壁を組み立てて作品をその上に貼り、自分だけの美術館を作ります。子どもたちが自分好みの美術館を作れるよう、装飾用に様々な材料を用意しておいたのですが、子供たちは見事にこちらの期待に応えて、額縁やガラスケース、絨毯、ベンチ、作品の脇のキャプションなど、イベントが始まる直前に皆で鑑賞した「コピーの時代」展の展示室にあった、様々なものを再現してくれました。でき上がった美術館のテーマも『空の美術館』『模様と色の美術館』『イタリア美術館』『動物園な美術館』など楽しいものがいっぱい。出来上がった美術館は記念として、作った子どもたちに持ち帰ってもらいました。