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2000年8月の作品
 クルト・シュヴィタス「gc」


gcクルト・シュヴィタス Kurt Schwitters
1887年−1948年

「gc」 1点

紙によるコラージュ(貼り合わせ絵)
縦17.0 × 横10.9cm
1924年作

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 第一次世界大戦のさなかの1910年代、チューリヒ(スイス)、ケルン、ハノーファー、ベルリン(以上ドイツ)、ニューヨーク、パリなど、欧米の主要都市で同時多発的に、「ダダイスム」と呼ばれる破壊的で反芸術的な運動が起こりました。それはヨーロッパを長い間支配してきた合理主義思想への、芸術家たちの反乱であり、新しい美の規範を目指しての旗揚げ運動でもあったのです。
 シュヴィタスは、ドイツのハノーファー・ダダを代表する作家であり、『メルツ』絵画の考案者として知られています。メルツとは、彼が道端や身のまわりから掻き集めてきた新聞紙、包装紙、糸屑、木片などの廃物を寄せ集めて作った一連の作品で、その初期の作品の中にたまたまコメルツ銀行の便箋の切れ端が含まれていたことからこの名がつけられています。廃物という「反芸術的」な素材を芸術の素材にしたという点で、極めてダダ的な作品とされています。
 この「gc」もメルツ絵画のひとつで、タイトルはやはり画面左上にある“gc”という文字に由来しています。廃物ばかりで作ったとはいえ、シュヴィタスは素材の形や色、質感、印刷された文字などを綿密に計算した上で作品を制作しているため、精密機械の一部や顕微鏡で見た細胞のような、見事な構成美を備えています。

シュヴィタスについて:
 クルト・シュヴィタス(シュヴィッタース)は、1887年、ドイツのハノーファーで生まれました。1909年から14年にかけて、王立サクソン美術学校で学び、その後は鉄工所で機械製図工として働きながら、カンディンスキーやキュビスムなどの影響を受けて、当時はまだ目新しかった抽象画を描き始めました。1918年から翌年にかけて、ハノーヴァー工科大学で建築を学んでいます。コラージュ(貼り合わせ)による作品を作り始めたのは1918年のことで、翌19年に最初の「メルツ絵画」を発表しました。「メルツ」という言葉は、彼のコラージュ作品の総称であるとともに、シュヴィタスの芸術理念そのものを象徴する言葉であります。「私の究極的な目的は、メルツ的総合世界像において非芸術と芸術とを結合することである」と語るシュヴィタスは、1923年から32年にかけて「メルツ」誌を個人編集し、廃品からなる建築「メルツ・バウ」の制作も行いました。その前衛的で急進的な姿勢のために、1933年以降はナチスに追われることになり、亡命先のイギリスで1948年に亡くなりました。

この「gc」は、現在開催中の常設展示『言葉ともの』において、10月1日(日)まで展示されています。