よくある質問


アートゲーム・ボックスとは何ですか?

滋賀県立近代美術館が、学校貸出用に制作した、美術鑑賞教育の支援教材です。

 

いったい何ができるのですか?

遊びながら美術鑑賞の仕方を学ぶことができるアメリカ生まれの教育プログラム「アート・ゲーム」が、すぐにでも実施できます。学校の授業で使用できるだけでなく、児童・生徒たちが休み時間に楽しむことも可能です。

 

アート・ゲームとはどのようなものですか?

古今東西の様々な美術作品の複製図版を用いて行う、トランプのような簡単なルールのゲームです。このゲームを繰り返し行うことにより、参加者は作品を鑑賞するために必要なテクニックを身につけることができ、あわせて美術館などにある本物の作品を見たいという動機付けも生まれます。

 

どうしてゲームを行うだけで、鑑賞のテクニックが身につくのですか?

人間は、美術作品を鑑賞する能力を生まれつき持っていますが、訓練しないとの力は伸びません。いわゆる美術ファンと呼ばれる人々は、繰り返し作品を見ることで知らず知らずのうちにその能力を伸ばしてきました。その能力とは、単に漫然と作品を見るのではなく、作品を分析的・客観的に眺め、自分の言葉で作品を解釈し、作品を自分の世界に取り込んで自分の糧とする能力だと言えます。アート・ゲームは作品を分析的に、自分の言葉で解釈することで成り立っているゲームです。だからゲームを重ねることにより、作品鑑賞の練習が行えるのです。
※ 美術作品を分析的に読解する能力を、ヴィジュアル・リテラシー Visual Literacy(=視覚言語の読解能力) と言います。


本物の作品の鑑賞ならともかく、複製図版を鑑賞しても仕方ないのではありませんか?

もちろん実物の鑑賞を行わないと、真に美術作品の鑑賞を行ったことにはなりません。しかし作品鑑賞のテクニックを磨くためには、練習が必要です。アート・ゲームはあくまで、作品鑑賞のための訓練だと割り切って下さい。アート・ゲームの実践を通して鑑賞のテクニックを身につけ、実作品を見てみたいという動機付けが出来上がった児童・生徒が(ここまでが第1段階)、美術館・博物館などで本物の作品に触れることによって(これが第2段階)、本当の意味での美術鑑賞教育は完成するのです。
※ 現在の美術館の状況では、美術館に団体鑑賞で来てもらっても、他の来館者の迷惑になる等の理由で、その場で充分な練習を積ませることはできません。練習を学校の教室で気兼ねすることなく行い、本番を美術館で迎えるという役割分担を行うことがベストだと思われます。

 

アートゲーム・ボックスの中には、どんなものが入っているのですか?

次のものがセットになって入っています。

  • 古今東西の有名な美術作品のカード300枚
    (滋賀県立近代美術館の所蔵作品50点を含む)

     

  • 作品一点一点の解説やボックスの使用法を記したガイドブック
  • アートゲームのひとつ「かるたゲーム」で使用する「詠み札カード」300枚
  • アート・ゲームの実施方法を解説したビデオ(VHSとDVDの2種類。22分)

 

どんなアート・ゲームを遊べるのですか?

次の6種類のゲームを、標準で行うことができます。これらのゲームのルールは解説書とビデオで知ることができます。ただしアート・ゲームは、自分で新しいルールを考えて実践することも簡単にできます。

  1. マッチング(絵あわせ)ゲーム
    (七並べバージョン、神経衰弱バージョン、対決バージョン の3パターンあり)

     

  2. ジェスチャーゲーム
  3. キーワードゲーム
    (通常バージョン、低年齢向けバージョン、キャラクターバージョン の3パターンあり)

     

  4. かるたゲーム
  5. お話作りゲーム
  6. 展覧会作りゲーム

 

ゲームを行える年齢に、制限はありませんか?

ゲームによっては低年齢向け(ジェスチャーゲームなど)、あるいは高年齢向け(展覧会作りゲームなど)という区分を設けているものもありますが、ほとんどのゲームは年齢に関りなく同等にプレイすることができます。異年齢の集団、あるいは子供と大人が一緒にプレイしても特に問題はありません。またゲーム初心者とベテランが一緒にプレイしても構いません。滋賀県立近代美術館ボランティアが過去に行った実践では、3歳児の集団でマッチングゲームを実施することが可能でした。

 

障害児もゲームを行うことはできますか?

障害のタイプによりますが、ゲームの方法を工夫すれば実施可能と思われます。過去に滋賀県立近代美術館ボランティアが行った例では、言語による表現に多少の困難が伴う人と健常者をまじえたマッチングゲームの実践が実施可能でした。なぜならアート・ゲームはコミュニケーションを高めるゲームという側面も持っており、各プレイヤーがお互いの言葉に耳を傾けよう、理解しようとする雰囲気が自然に生まれたからです。

 

ゲームと言えば勝ち負けがつきものですが、それが児童・生徒たちの心の傷になるようなことはないですか?

アート・ゲームの多くは、特に勝ち負けがありません。また勝ち負けがあるものでも、実力差で勝ち負けが確定する類のものではありません。たかがゲーム、という気楽な態度でプレイするよう指導すれば、心の傷になることはないでしょう。

 

アートゲーム・ボックスの貸出しはいつから行うのですか? また借用手続きはどのようになりますか?

貸出しは2003年4月15日から行っています。
借用手続きは、規定の書式(別添)で申し込んでいただくかたちになります。詳しくは「アートゲーム・ボックス貸出し規約」をご覧下さい。

 

アートゲーム・ボックスの貸出し期間はどれくらいですか?

現在のところ、1週間単位の貸出しで、最長4週間までです。一度貸出しを行った団体に対してはその後一年間は貸出しを行わない予定ですので、ご注意下さい。

 

アートゲーム・ボックスは貸出しだけなのですか? 販売は行わないのですか?

アートゲーム・ボックスは手作りなので、大量生産ができません。現時点では販売の予定はありません。また著作権の問題からも、販売は難しいと考えています。ただし、自分たちで独自にゲーム用のカードを作りたいという希望があった場合、美術館が指導を行うことは可能です。(カード制作費は1セット5000円程度です) 美術館が委託を受けて制作することはできません。

 

ゲームを行った児童・生徒が、作品に興味を示し色々と質問してきた時に、美術史や美術作品の知識に乏しい教師では対応できないのではないですか?

アートゲーム・ボックスに同梱した作品解説だけでは、児童・生徒たちの質問に対応できない可能性があります。そのためただ今美術館では、美術館ホームページの一角に「アートゲーム・ボックス専用 質問掲示板」の設置を考えています。疑問点が生じたらこの掲示板に書き込んでいただくことにより、美術館学芸員が答えてゆく予定です。(回答がアップされるまで2~3日かかることもあるのでご了承下さい)

 

アートゲームの実践に自身がありません。美術館の職員に学校に来てもらって、アートゲームをしてもらうことはできませんか?

アートゲームは「いつでも、どこでも、誰でもできて効果が上げられる」ことが特徴なので、アートゲームの実施は学校側で行われることを望みます。ただし美術館への団体鑑賞を前提としておられる場合、要望によりアートゲームを含めた鑑賞教育プログラムの出前授業を行える可能性もあります。

 

美術館と学校との連携を視野に入れた、美術鑑賞教育を行いたいと思うのですが、美術館がしてくれるのはアートゲーム・ボックスの貸出しだけなのですか? もっと密接な連携プログラムの予定は無いのですか?

アートゲーム・ボックスの使用はあくまで第1段階。美術鑑賞教育のプログラムには、美術館において実作品を鑑賞する第2段階が不可欠だと考えています。団体鑑賞を考えておられる学校とは、連携によるプログラムが必要です。当館ではただ今、アートゲーム後の団体鑑賞に対応した鑑賞教育プログラムの確立に向けて検討中です。

 

図工・美術の授業でゲームを行うことにはなんだか抵抗があるのですが。

ゲームのルールは単純ですぐに覚えられますので、ショートホームルームや休み時間のといった短時間の実施も可能です。
なおアート・ゲームは美術鑑賞教育だけでなく、参加者のコミュニケーション能力を自己表現能力を高めるゲームとしての側面もありますから、総合的な学習の時間の題材としても使用することも可能です。なお、美術作品の図版の代わりに別の図版を用意して、国語、社会、理科などの授業でゲームを行えば、きっと別の成果が上がることでしょう。

 

ゲームを行うことは確かに楽しいですが、学校の授業で行う以上、評価・評定の問題が生じます。ゲームの成果を一体どう評価すればいいのですか?

ゲームそのものを評価・評定の対象とすることは困難ですが、中学生以上の生徒を対象とした場合は、以下のような展開に結びつけることによって、評価・評定の対象とすることが可能になると思われます。

  1. 『展覧会作りゲーム』を展開させる
    標準で用意した6種類のゲームのひとつ『展覧会作りゲーム』を実施し、「テーマの独創性」「選出した作品の必然性」「作品を並べる順序の面白さ(ドラマ性、国際性、歴史性など)」などといった観点から評価する。クラスの皆を前に行った発表や、自己評価の結果なども加味する。

     

  2. 自己表現に結びつける
    カードの中から自分の気に入ったものを選び、それについて「どんなところが気に入ったのか」発表させる。もしくは作品や作者について図書室等で調査した結果を発表させる。あるいはその作品をもとに、自分でアレンジした作品を制作させる。

     

  3. 美術館への来館と有機的に結びつける。
    作品カード300枚のうち50枚は、滋賀県立近代美術館の所蔵作品である。この中から気に入った作品を各自選び、美術館への質問点をあらかじめリストアップしておく。実作品の鑑賞前と観賞後の印象の違いなどをレポートにする。
    ※ なお美術館は展示替えを行うので、それらの作品は必ず展示されているわけではありません。あらかじめ展示作品の詳細については美術館にお問い合わせ下さい。

 

アート・ゲームに興味を持ったので、もっと詳しく知りたいのですが。

滋賀県立近代美術館ボランティアのホームページでは、このボックスで取り上げたゲーム以外にも、様々なアート・ゲームを紹介しています。ぜひ覗いてみて下さい。
http://www.biwa.ne.jp/~artvolun/artgame/artgames.html