スロヴァキアが生んだ色彩の魔術師 『ドゥシャン・カーライの超絶絵本とブラチスラヴァの作家たち -『アンデルセン童話集』の挿絵原画100点一挙初公開-』

2010年4月24日2010年6月27日

ボローニャ国際絵本原画展と並んで世界的に有名な絵本の祭典、ブラチスラヴァ世界絵本原画展(略称BIB)が2年に一度開催されるスロヴァキアの首都ブラチスラヴァ。そのブラチスラヴァ出身の天才的な挿絵画家で、絵本の魔術師ドゥシャン・カーライ(1948- )は、東欧を代表する絵本作家として世界各地で絵本を出版し、数多くのファンを魅了しています。そして近年では、夫人のカミラ・シュタンツロヴァーとともに、4年の歳月を費やして、アンデルセン童話156作のすべてに挿絵をつけるという偉業を成し遂げました。

カーライのトレードマークである繊細で微妙な色調、大きな目を見開いて彼方を見つめる登場人物たち、どこか哀愁の色を帯びた幻想的な世界は、美しくはかなげですが、つねに現実を直視する強靱な人間観察と優しいユーモア精神に裏づけられています。時に、子供や動物たちの視線から世界を見つめるカーライの絵には、見る人の心を純化し、優しい気持ちにさせる不思議な力が宿っています。その作品は、人間と自然を取り巻く世界の縮図であり、生きる喜びと悲しみ、苦悩や歓喜、怒りや愚かさ、夢と憧れと愛がぎっしりと詰まっています。

本展は、初期の代表作である『不思議の国のアリス』や『アンデルセン童話集』をはじめとする絵本原画のほか、油彩画、版画、アニメーション原画、限定挿絵本など約250点の作品により、色彩の魔術師カーライのファンタジー溢れる創作活動の全貌に迫ります。

会  期 2010年4月24日(土)~6月27日(日) 開催日数:56日間
主  催 滋賀県立近代美術館、京都新聞社
協  力 ブラチスラヴァ市立美術館、偕成社、カトーレック株式会社
後  援 ロヴァキア共和国大使館、日本国際児童図書評議会(JBBY)、滋賀県教育委員会、BBCびわ湖放送
企画協力 株式会社イデッフ
展覧会構成 第1部 ドゥシャン・カーライのすべて
  絵本原画、油彩画、版画、限定挿絵本、アニメーション原画、レコード・ジャケット、切手など約250点
第2部 カーライとブラチスラヴァが育んだ絵本文化の多様な展開
  出品作家:降矢奈奈(ふりや・なな)、リュボスラウ・パリョ、マレク・オルマンディーク、ミロシュ・コプターク、
       ペテル・ウフナール、ダーヴィッド・ウルシーニ、ズザナ・ボチカヨヴァー・ブルンツコヴァー、
       マルティナ・マトロヴィチョヴァー、出久根 育(でくね・いく) の9名の挿絵原画 計 約50点
関連行事

記念講演会
「チェコとスロヴァキアの絵本作りについて」
   日時:平成22年5月30日(日) 午後1時30分~
   講師:リュボスラウ・パリョ(出品作家)
   会場:当館講堂(入場無料) 通訳有り

日曜美術鑑賞会(展示品解説)
   日時:平成22年5月16日(日) 午後1時30分~
   講師:占部敏子(当館専門学芸員)
   会場:当館講堂(入場無料)

チェコとスロヴァキアの切り紙アニメ上映会
   日時:平成22年5月8日(土)、9日(日)、15日(土)、22日(土)、23日(日)、29日(土)、6月5日(日)、
      6日(日)、12日(土)、19日(土)、20日(日) いずれも午後2時~
   上映作品:ドゥシャン・カーライ「愛の伝説」ほか
   会場:当館講堂(入場無料)

『アンデルセン童話』読み聞かせ会
   日時:平成22年4月29日(木・祝)、6月13日(日)、6月27日(日) の3回 いずれも午後2時~
   協力:外国絵本の読み聞かせの会
   会場:当館講堂(入場無料)

ワークショップ「1日はモノガタリ!?-陶板の時計づくり-」  *要事前申込み
  朝起きて→時間ごとに活動して→夜眠るまで・・・私たちの1日は1つのモノガタリのようです。1日の出来事に
  イメージをふくらませながら、陶板を制作し、焼成後にアクリル絵の具で彩色して、オリジナルの時計を作ります。
   日時: 1日目:5月9日(日) 午後1時30分~4時(展覧会鑑賞、陶土で時計盤制作)
       2日目:6月6日(日) 午後1時30分~4時(焼成した陶板に彩色、時計の組立)
   講師:山本昌代(陶芸家、造形講師)
   対象:小学生~成人 ただし、2日とも参加できる方
     (小学生1年~4年までは、必ず保護者の方がご同伴下さい。お子さまと共同制作していただいても結構です)
   定員:20名(定員を超えた場合は抽選となります)
   参加費:材料費1,500円 *大人の方は観覧券(団体料金:一般750円、高大生500円)が必要です。
   申込み締切:4月23日(金) 必着

大人のためのワークショップ「銅版画に親しむ」   *要事前申込み
  繊細で美しい線が魅力のラインエッチングの技法で、オリジナルの絵はがきを作ります。

   日時:平成22年5月29日(土) 午前10時~午後3時(昼休憩 午後12時~午後1時)
   講師:安井(星野)直子(当館嘱託員、版画家)
   対象:高校生以上(初級レベルより)
   定員:10名(定員を超えた場合は抽選となります)
   参加費:材料費1,000円と観覧券(団体料金:一般750円、高大生500円)が必要です。
   申込み締切:5月14日(金) 必着

たいけんびじゅつかん(1) アーティストとつくろう!2010年第1弾「ヘンテコな形でつくろう」 *要事前申込み
 いろいろな形の木片を上手につかって、でこぼこレリーフをつくってみよう。
   日時:平成22年5月23日(日) 午後1時~4時
   講師:片山みやび(美術家)
   対象:小中学校全学年とその保護者(お子さまと保護者一緒にお申し込み下さい)
   定員:15家族程度(定員を超えた場合は抽選となります)
   参加費:材料費お一人 300円 *大人の方は観覧券(団体料金750円)が必要です。
   申込み締切:5月7日(金) 必着

たいけんびじゅつかん(2)「ゴシゴシ、ペロリン 絵画 」 *要事前申込み
  描いたところに色がつかない不思議な絵の具とシールをつかって作品を作ります。お話にでてくる場面を自由に想像
  して描いてみよう。
   日時:平成22年6月20日(日) 午後1時~4時
   対象:小中学校全学年とその保護者(お子さまと保護者一緒にお申し込み下さい)
   定員:15家族程度(定員を超えた場合は抽選となります)
   参加費:材料費お一人 200円   *大人の方は観覧券(団体料金750円)が必要です。
   申込み締切:6月4日(金) 必着

 

ドゥシャン・カーライ(1948~ )について

カーライは、ブラチスラヴァ世界絵本原画展(略称BIB)で有名なスロヴァキア共和国の首都ブラチスラヴァ生まれの天才的な挿絵画家で、絵本の魔術師と言われています。ブラチスラヴァ美術アカデミーで学び、卒業後まもなくBIBで「金のりんご賞」を2度続けて受賞し、若くして注目を浴びます。さらに1983年に『不思議の国のアリス』でBIBのグランプリを獲得。1988年には、40歳の若さで、それまでの全業績に対して贈られる国際アンデルセン賞画家賞を受賞。本国のみならず、スイス、ドイツ、フランス、日本などから出版された百冊以上に及ぶ絵本や装丁本の挿絵を手がけ、ヨーロッパでは押しも押されもせぬ絵本界の大御所として知られます。その一方で、画家・版画家としても優れた作品を数多く発表しています。また母校ブラチスラヴァ美術アカデミーの教授として、数多くの挿絵画家を育てています。

 


(図版1)
ドゥシャン・カーライ
『満点をもらったおばかさん』絵本原画
1983年 

 

 

 

 


(図版2)
ドゥシャン・カーライ
『小さい家』絵本原画
2000年 

 

 

 

 

 


(図版3)
ドゥシャン・カーライ
『アンデルセン童話集』より「天使」挿絵原画
2001-2005年