戦後アメリカ美術の軌跡

2011年9月6日2011年12月18日

 常設展示室2では、主にアメリカと日本の現代美術の作品を3ヵ月ごとに展示替えを行って紹介しています。今回は「戦後アメリカ美術の軌跡」と題し、当館の主要なコレクションである第2次世界大戦後のアメリカ美術のなかから、重要な作品を展示します。
 20世紀の文化の中心がアメリカにあったことは誰の目から見ても明らかなことでしょう。美術の中心も第二次世界大戦後にはフランスやドイツなどヨーロッパからアメリカに移ります。
 第二次世界大戦中に戦禍を避けた多くの芸術家たち−画家、音楽家、小説家、映画監督など−が、ヨーロッパからアメリカに移住しました。そしてヨーロッパ美術界をリードする抽象画家やシュールレアリストが、移住先のアメリカで若い画家たちを大いに刺激することになったのです。
 抽象表現のうちに、シュールレアリストの自動筆記から作者の身振りが現出することを継承し、巨大なスケールを兼ね備え、アメリカ独自の表現として戦後生まれたのが抽象表現主義です。また抽象表現主義からはロスコやラインハートのような深い精神性を想起させる画家や、その抽象化された形体を発展させ、ステラ、アンドレやジャッドといったミニマリズムの作家が出てきました。ミニマリズムの作家は手わざや主題を作品から一切排除し、純粋に視覚によってのみ経験される作品を試みました。
 このように美術の純粋性を押し進める動きがあった一方で、ウォーホルやローゼンクイストなどポップ・アートの作家たちは、ミニマリズムのような美術の純粋化の流れが切り離してきた、美術と現実社会との接点を即物的な表現の中に探っています。

●現代美術部門

作者名 タイトル 素材・技法 制作年

《戦後アメリカ美術の軌跡》

ジョゼフ・コーネル シャボン玉セット(月の虹)宇宙の物体 箱状のミクストメディア 1950年代
ジョゼフ・コーネル 無題 箱状のミクストメディア 1950年代
ジョゼフ・コーネル 陽の出と陽の入りの時刻、昼と夜の長さを測る目盛り尺(アナレマ) 箱状のミクストメディア 1948〜1950年
アド・ラインハート トリプティック 油彩・カンヴァス 1960年
ドナルド・ジャド 無題 アルミニウム、鉄 1977年
マーク・ロスコ ナンバー28 油彩・カンヴァス 1962年
フランク・ステラ ブラック・シリーズII リトグラフ・紙 1967年
フランク・ステラ ヴァルパライソ・フレッシュ メタリックペイント・カンヴァス 1964年
トム・ウェッセルマン グレート・アメリカン・ヌード#6 ミクストメディア、 コラージュ・ボード 1961年
ジェームズ・ローゼンクイスト F-111 リトグラフ、シルクスクリーン・紙 1974年
ジム・ダイン 10の冬の道具 リトグラフ・紙 1973年
アンディ・ウォーホル フラワーズ シルクスクリーン・紙 1970年
リチャード・セラ バック・トゥー・ブラック リトグラフ・紙 1981年
リチャード・セラ バッド・ウォーター リトグラフ・紙 1981年
リチャード・セラ マルコムX リトグラフ・紙 1981年
リチャード・セラ ザ・モラル・マジョリティ・サックス リトグラフ・紙 1981年
リチャード・セラ ポピー・サンズに リトグラフ・紙 1981年
カール・アンドレ Zinc-Zinc Plain 亜鉛版、36枚組 1969年